歯科材料による悪影響
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歯科材料から環境ホルモン?
歯科材料から環境ホルモンが溶出し体内に取り込まれる可能性がいわれています。
ビスフェノールA
ビスフェノールAという物質が、歯科治療で用いられているレジンやシーラントからも溶け出すとの報告(Environ Health Perspect 104号298-305ページ,1996年)がありました。
これはマスコミと取り上げ、議論を巻き起こしました。
以下、新聞記事より引用。
歯の充てん材が口中に溶出 ?米国内で大きな波紋?
むし歯を削ったあとの溝などに埋める充てん材から、ホルモン様物質のビスフェノールAが溶出しているとの研究結果が1996年3月、米国の科学雑誌Environmental Health Perspectives.104(3),298-305.1996.に発表された。 この物質は熱湯を入れたポリカーボネイト製ほ乳瓶からも溶出したエストロゲン(女性ホルモン)様物質だ。歯の治療によって口の中で発生するというショッキングな内容なだけに、米国内では大きな波紋を広げた。
歯の溝を埋める充てん材は、一般にコンポジット・レジン(歯科医院で、「歯と同じ色の樹脂で詰めておきましょう。」と説明される歯科材料です。前歯に多用されます)とかシーラント(萌出したての永久歯、特に奥歯のむし歯予防として用いられる歯科材料です)と呼ばれる。このレジン系充てん材から、ビスフェノールAが溶出するのは、ビスフェノールAを化学構造にもっているビス・GMAなどをモノマーとして用いているためだ。
スペインのグラナダ大学や米国のタフト大学が18人の学生を対象に行った研究によると、レジン系充てん材の処置をした1時間後、唾液(30ml)から、90?931マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)のビスフェノールAを検出した。学者たちは「特に子供たちにとっては、このレジン系充てん材からの溶出は、外部から摂取する新たな内分泌かく乱物質を増やすことになる。溶出したホルモン様物質が体内でどう代謝されるかは今後の研究課題だ」と同誌で警告している。
これに対し、米国歯科医師会は「カリフォルニア大学が7種類の市販シーラントで行った試験管での溶出試験では、ビスフェノールAは検出されなかった。昔の充てん材は硬化性が悪く、少量の化学物質が溶出したかもしれないが、最近のレジン系充てん材は豊富な安全性のデータに裏づけられている。体に悪影響がある科学的な根拠は何もない」と会報などを通じて反論している。
日本はどうか。日本歯科医師会の問い合わせに対し、今年(1997年)10月2日、歯科材料メーカーで組織した「日本歯科材料工業協同組合」(東京)は、「ビスフェノールAは、ビス・GMAなどの合成の際の未反応物質として、あるいは分解産物として微量含まれる可能性はある。しかし、充てん材は硬化させて使うものであり、(米国の7市販品の試験結果の通り)溶出していないので問題ない」と文書で回答。 さらに続けて「ビスフェノールAを細胞培養やラットに多量に投与すれば、精子の減少や乳がんの増殖促進などの作用はありえると考えられるが、溶出していないので、ほとんど人体への影響はない。米国歯科医師会も何度も安全性の声明を出している」と答えている。