歯科金属の種類

歯に詰めたり被せたりする金属の中には、金銀パラジウム合金、水銀アマルガム、ニッケルクロム合金、銀合金、その他コバルトクロムなど様々なものがあり、身体に良くない物質、毒性物質を含んでいるものもあります。

歯科金属が体に合わないと、アレルギーや全身の疲労感、不眠などの原因になることがあります。

金銀パラジウム合金(金パラ)

「12%金銀パラジウム合金」は、世界でも日本でしか使用されていない歯科金属で、この金属が保険の詰め物として認められたのは戦後間もない頃です。
国は「銅亜鉛合金」を保険診療で使用しようとしましたが、人体にあまりにも害の大きな金属だったことから、当時の総医療費や日本の経済力を鑑み、安価な代用金属として「12%金銀パラジウム合金」を許容限界として使用し、なるべく早い時期に「金合金」へ移行すべきであることを発表しました。

しかし金合金への移行は実現されないまま現代に至っている実情があります。「12%金銀パラジウム合金」に含まれる成分は、金12%、パラジウム20%、銀50%、銅16%、その他(亜鉛、インジウ、イリジウム等)2%です。
パラジウムは、金の耐摩耗性、銀の耐蝕性、耐硫化性という欠点を補うために使用されていますが、リンパ球幼若化テストという金属アレルギー検査では、約半数の人に陽性反応が出ます。

ドイツやスウェーデンでは、保健省が歯科業界に対して、「幼児及び妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しない」という勧告を行ないました。
また、ドイツなどの医療先進国では、パラジウムが体に与える悪影響から、パラジウムフリー(パラジウムを含まない)の金属を使うことを強く推奨しており、外国製の日本向けの歯科金属のパンフレットでも、「この金属はパラジウムを含みません」ということをわざわざ謳っているほど、パラジウムは身体に良くないことが広く認識されています。

歯科用水銀アマルガム(アマルガム)

アマルガムの成分は、錫9%、銅6%、亜鉛、そして約50%が水銀です。

アマルガムを詰めた歯は、噛む摩擦などで生じた熱などで「水銀蒸気」が発生します。その結果、水銀の蒸気が体内に流出し体内に吸収され、腎臓、肝臓、さらには脳などにも水銀が蓄積されていく可能性があります。

体内に吸収されてしまった水銀は、皮膚の炎症や手のひらや足の裏などに生じる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」という水泡状の湿疹の原因になるともいわれています。

さらに、水銀は非常に「神経毒性」の強い物質で、感覚異常、不眠、イライラ、めまい、頭痛、その他原因不明の痛みなどの原因になるともいわれています。また、水銀は不妊の一因にもなるという報告もあります。

事実、1998年4月、イギリス厚生省は妊婦にアマルガムの詰め物をしないように警告を発し、スウェーデンでは1987年に政府が同様の発表をしています。

日本では使用されることは少なくなりましたが、依然としてアマルガムの使用は認められています。

ニッケルクロム合金

ニッケルアレルギーは、汗の中の塩素イオンでニッケルが溶け出されて皮膚炎を起こしたり、体内に取り込まれると血液で運ばれ、汗の多い場所に湿疹を引き起こすこともあります。
クロムの化合物は3価クロムと6価クロムが広く知られておりますが、アレルギー性の皮膚炎を起こすのは6価クロムです。6価クロムはアレルギーだけではなく、潰瘍の原因になったり、発ガン性の疑いなどから、EUを中心として排除する動きが起きており、日本も対応が迫られている状況にあります。

自動車産業やエレクトロニクス産業等においても、6価クロム代替の処理剤をはじめ、6価クロム規制対策に着手し始めており、近年使用禁止になる傾向にあります。

銀合金

銀の食器やアクセサリーでわかるように、銀は酸化して錆びやすく、すぐに真っ黒になる金属です。口腔内の過酷な環境で使用すると、溶出したり、歯ぐきを黒く変色させるリスク(メタルタトゥー)があります。「銀合金」は、銀70%、亜鉛12%、インジウム13%、その他(スズ、ルテニウム、アルミニウム等)5%でできています。

金合金

金だから絶対アレルギーが出ないということはありません。実際、24Kが純金ですが、18Kとなると6K分は金以外の金属が含有されていることになります。この金以外の金属がアレルギーを引き起こす場合があります。そのほか、金やプラチナでもアレルギーが現れるケースもあります。

チタン

生体親和性が高いと言われているチタンもアレルギーを引き起こす場合がありますし、電磁波の集積などのリスクも考えられます。

2020年からフランスは二酸化チタンを禁止していましたが、2022年よりEU全体で酸化チタンの使用が完全に禁止となります。この決定により、医療分野でも今後は排除の動きが本格的に検討されていく流れとなっており、将来的に歯科インプラントに波及することも否定できません。

その他、酸化チタンに関しては、2017年に、欧州化学品庁は、酸化チタンを吸引すると発がんリスクがあるという証拠があり、化学物質規制の発がんリスクが予想される物質に分類されると結論付けました。

また、欧州連合は、危険有害化学品の分類、表示、包装に関する規制をとりまとめるCLP規則において、酸化チタンを発がん分類区分2(吸入)に分類する旨の官報を公布し、2021年10月1日から適用となっています。1%を超えて酸化チタンを含有する製品には、特定の警告表示及びラベル表示が必要としています。

金属を使用しない「ジルコニアインプラント」⇒


各大学の調査

東京医科歯科大学の調査結果(5年間)

東京医科歯科大学歯学部アレルギー外来で歯科金属によるアレルギー発症を疑う来院患者にパッチテストを行い、成分金属別に陽性率を調査したところ、5年間の結果で、水銀(Hg)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、クロム(Kr)、スズ(Sn)などの五大アレルゲンが高頻度でアレルギーを生じていることが明らかになりました。

広島大学の調査結果(10年間)

歯科金属アレルギーの動向を調べるため、広島大学病院歯科にて金属アレルギー検査を行った 529 名を対象に、平成 13 年4月~平成 23 年 3 月までの10年間のテストによると、前半5年間の陽性率は、ニッケル(23.7%)、クロム 6 価(18.4%)、イリジウム(18.4%)、コバルト(16.2%)。後半5年間の陽性率は、ニッケル(18.9%)、パラジウム(16.6%)、クロム 3 価(13.2%)、イリジウム(13.2%)となりました。さらにチタンについては 0.9% から 6.4% へと増加傾向にあることもわかりました。歯科金属を外したり、セラミックの普及などによって、全体的な数は減ったものの、水銀アマルガムの水銀によるアレルギーなどは低下して、現在は銀歯などのパラジウムや、インプラントなどのチタンに対するアレルギーが増加傾向にあると結論付けています。

水銀アマルガムの危険性

歯科用水銀アマルガムなど、「歯に詰められた金属は安全なのか?」について参考になる動画です。

参考動画

歯科用水銀アマルガムなど、「歯に詰められた金属ははたして安全なのか?」について、各国で議論をよんできました。この映像は アマルガムから発生する水銀蒸気のことや、水銀の胎児への影響、全身に現れるアレルギー症状などについてわかるようになっています。

「水銀蒸気」とは、無臭・無色のものですが、ブラックライトを当てると煙のように見えます。アマルガムから、人に悪影響を与える危険性のある水銀水蒸気が出ることが確認できるこの映像は、その当時、歯科界を驚かせるものでした。是非この映像をご自身の目で確認してみてください。